手抜きじゃないよ

ちょっと前にmixiに書いた文章なんだけど。
なんつーか、栗本薫への最期の気持ちかもしれないので。
一応こっちにも転載しておくことにする。


グイン・サーガ 128巻「謎の聖都」
第二話 謎の聖都 よりヨナ・ハンゼの独白を抄訳

いまは、いろいろ学び、いろいろ見てきて、いろいろ経験して
――以前よりももっと、わからなくなってしまっている。
いろいろなことに出会い、見たりきいたりすればするほどわからなくなる
――世界とは、なんと不思議なところだろう。

――いったい、誰が、この世界を作ったのだろう
――いったいなにものが、われわれに、このようにあれと定めたのだろう。

僕は、もっと……もっと知りたい。
どうして、こんなふうになってしまったのか
――どうしてこういう世のなかになってしまったのかを。
そして、自分がなぜ生まれてきて、自分がなぜかくあるのかを……
自分は何におのれを託せばいいのかを

以上。

そうだったよね。
栗本薫はいつだってこんな風に書いてた。
ボクもかつて同じように感じて、すごく共感して。
こんな風に上手に書いてあることにすごく感謝してファンになったんだったよ。

死を目前にして、こんな透明な、行き場のない気持ちをまだ書けるなんて。
ああ、やっぱりアンタは死ぬ瞬間まで栗本薫だったんだな、と。

そう思ったら涙が止まらなくなった。

哀しい。
哀しすぎる。