危急存亡の秋

その時、マサキは世界を呪わずには居られなかった。
知られてしまったのは確実だ。
尊敬する母親に知られた以上、最愛の妹に知られたのも確実。
嗚呼、この世で最も愛する我が家族よ。
最早この家の中に自分の棲まうことができる場所はないやも知れぬ。
しかし、こっそりと毎晩覗き見ている妹の寝顔を想い出すにつけ。
家を出るという気持ちが揺らぐ。
自分の弱さを呪うことで気持ちを落ち着かせることも出来ない。
そして、今夜も涙で*1を濡らすのだろう。

*1:というかマサキの嫁