鯖味噌

晩飯のおかずが鯖の味噌煮込みだったんだよね。
この食いモンには凄い思い入れがあって。
こんな物語があります。


 ある社長が自社ビルかなんかの工事現場で事故に遭う。
 血液が不足しているがRH-因子の為、輸血に手間取る。
 現場作業員の一人が適合する血液を持っていたので。
 その人からの輸血で社長は一命を取り留める。
 回復後、感動した社長は作業員を一流レストランみたいな
 場所での食事に誘う。
 が、かたっくるしくて味なんてわかんねぇ、と作業員。
 その後、街の定食屋さんで二人、鯖の味噌煮定食を食う。
 「どうだ? うまいだろ?」と作業員。
 「ン! うまい。」と社長。
 そして二人は無二の親友となる。
 しかし、今度は作業員が事故に遭ってしまう。
 報せを聞いた社長は、大事な会議をすっぽかし。
 輸血の為に駆けつける。「赤信号もふっとばせ!」
 作業員は一命を取り留めるが、社長は職を失う。
 でも、それでも。
 二人でこれからも強く生きていこう、と。
 肩を組む二人をバックに幕は下りる。


ご存知の方も多いと思うけど。
コレは手塚治虫の「ブラック・ジャック」の中のエピソード。
ボクはこの話に感激して。
それ以来、ボクの中で鯖味噌はとても重要な食べものになった。
食べるだけで、なんとなく物悲しい。
それでいて、ホッとするような気分になれるのである。